平成28年 台風10号豪雨災害
期 間:平成28年9月3日(土)~13日(火)
場 所:岩手県岩泉町地内
出動会員:5会員
概要
台風10号は、強い勢力を保ったまま暴風域を伴い東北地方に接近し、平成28年8月30日18時頃東北地方太平洋側(岩手県大船渡市付近)に上陸しました。台風が東北地方の太平洋側に上陸するのは1951年(昭和26年)の統計開始以降、初めてのことです。
この台風10号の上陸に伴い岩手県沿岸では300mm程度の降雨が観測され、河川の氾濫により人的被害・交通途絶・住宅孤立が多数発生しました。
以下は、東北地方整備局からの「災害時における東北地方整備局所管施設の災害応急対策業務に関する協定」に基づく出動依頼により、その中でも特に被害が集中した岩手県岩泉町を中心に、UAVを用いた被災箇所の空撮調査を実施した状況を報告するものです。
写真:一部東北地方整備局提供
会員報告
㈱菊池技研コンサルタント
被災箇所の現状及び復旧状況の把握を、安全且つ迅速に実現できる手段としてUAVによる空撮を行いました。当日は撮影ポイントまでの道が寸断され、到着が困難な状況でした。到着した撮影ポイントには氾濫した土砂が散在し、それらがUAV離着陸時のダウンウォッシュにより舞い上がる事が予想され、機体に接触した場合にはプロペラ等が破損する恐れがありました。また、飛行空域には高圧線や視界を遮る樹木などが有った為、飛行前には機体操縦者と機体管理者が飛行ルートの確認や、飛行プランの打ち合わせを入念に行い、離着陸ポイントの選定も含め、安全に十分配慮して作業を行いました。
県道177号被災状況(岩泉町小屋敷地区)
同左
岩泉町安家字日蔭被災状況
同左
国道455号復旧作業状況(岩泉町乙茂上地区)
同左
㈱田村測量設計事務所
当社で担当したのは岩泉町安家氷渡地区で道路が完全に通行不可の状態であり、先が孤立集落となっているところでした。この状況を伝えるための動画を撮影して欲しいということを同行した北陸地整のTEC-FORCEに指示され空撮に臨みました。川沿いの道でしたが、川が大きく蛇行しているために見通しが悪くFPVでの撮影となりましたが、周囲の状況に注意しながら飛行し無事に空撮を完了することが出来ました。貴重な体験が出来たことに感謝しております。
UAVよる状況撮影
㈱サトー技建
台風10号豪雨災では、小本川及び支川沿いの道路が増水による洗掘で崩落し、多くの区間が通行止めとなりました。調査箇所への移動は、別ルートによる迂回で多くの移動時間を要しましたが、調査前日からTEC-FORCE(中部地整)と綿密な連絡を取り合い活動したことで2日間の災害調査は無事完了いたしました。
岩泉町有芸付近、渓流土砂流出箇所UAV撮影
岩泉町浅内付近 土砂災害現場をUAV撮影(全景)
同箇所 土砂災害現場をUAV撮影(流木堆積地点)
TEC-FORCEとの打合せ
国土交通省対策本部車
調査現場途中 全面通行止め(通行止め地点)
調査現場途中 全面通行止め(道路の状況)
別ルート選定の打合せ
㈱三協技術
当社は、9月4~7日と9月9~14日の計2回、各地方整備局派遣のTEC-FORCEに同行し、その指示に基づき岩泉町内及び宮古市内における被災状況やTEC-FORCE活動状況についてUAVによる動画・静止画の空撮を実施しました。調査は、孤立集落住民の自衛隊ヘリによる搬送作業との調整、被災箇所への迂回等移動ルートの確認・徒歩移動などで苦労しましたが無事終了することができました。
岩泉町乙茂上地区 地すべり箇所下流部
同箇所 地すべり箇所最上流部
岩泉町門地区 小本川氾濫被害状況
宮古市花原市地区 閉伊川氾濫被害状況
岩泉町二升石地区 小本川氾濫被害状況橋梁流出
同箇所 小本川氾濫被害状況法面大規模崩落
㈱ウヌマ地域総研
今回の被災調査は、豪雨により移動や宿泊施設が制限される中での、調査となりました。調査時は、強風と降雨により可能な限りのUAV調査でしたが、近畿地整TEC-FORCEの方々と最前線の調査を体験した事は、貴重な経験であり、大変誇りに思える機会となりました。今回の経験を生かし、今後も被災者たちへの支えとなれる仕事をしていきたいと思います。
【 法面崩壊状況 】UAVによる状況撮影実施
【 河川被災状況 】